株式会社 SSKPC

A01634 2000/01/01
カオス chaos
システムが定まった規則に従って変化しているにもかかわらず、非常に複雑で予測不可能なふるまいをする現象。変化自体は特定の規則に従っているため、単にランダムな現象とは異なる。  カオスは特別な現象ではなく、電気回路の振動、生物の神経系の現象、沸騰する水の流れなど身の周りでも多く観測できる。このような現象の解明を目指す理論を総称して、カオス理論と呼ぶ。  ニューラルネットワークやファジーなどとともに、非線形的な(単純な比例関係で表せない)データを処理するための工学的手法のひとつとしても位置付けられる。  カオスの工学的応用は2つの方向に大別できる。1つは、ある現象がカオスであることを証明してカオスを生じている要因となる規則を抽出し、これを用いて現象の詳細な分析や予測などに活用しようという方向。例えば人間の脈のパターンがカオスであることから、これを健康管理に応用したシステムがある。特定の規則で変化するカオスは短期的な予測ならば可能であることから、金融市場などの予測への応用事例もある。  もう1つの方向は、カオスを簡単な規則で複雑な動きを発生させることが可能なシステムとして活用するというもの。例えば、人間に快適感を与えるとされている一定のゆらぎを発生させるためにカオスを応用した家電製品や、カオスを利用をした複雑な水流でまんべんなく洗浄する食器洗い機などがある。  カオスを数理化してコンピューターの演算に利用するためのカオス素子の研究も行われている。パソコンでは、画像ファイルの圧縮や電子メールなどの暗号化ソフトにカオス理論の応用事例がある。